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わたしが彼に初めて会ったのは今から六年前。短大卒業後に就職した高嶋建設株式会社だった。会社設立から五十年近くの中堅の建設会社で、わたしはそこの受付嬢だった。
彼もその会社の社員だった。
【氏名:世良文哉】
【所属:営業本部設計課】
【ハイスペックで将来有望】
【独身】
【ひとり暮らし】
【彼女ナシ】
【女性は基本、来る者は拒まずで、年上・年下なんでもOK】
当時から世良さんは社内で大人気。入社間もないわたしのもとにも、そんな情報が入ってきていた。
不思議なことに世良さんはずっと特定の彼女がいないらしく、フリーの女性社員はもちろん、既婚者の人も彼を狙っていたとか、いないとか。
そんな世良さんは毎朝「おはよう」と、新人のわたしにも必ず声をかけてくれた。もちろん、わたしだけではなくてほかの人たちにもそうしていたわけだけれど。そんなところも世良さんの評判が高い理由だった。
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