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種を手にしたジタンは、今度は一つを丁寧に育てた。そして見事花を咲かせることに成功した。 彼にはどうしても気に食わないやつが一人居た。隣の家に住む独身の男。その男の何がいけないって特に彼に落ち度は無い。ただ単にジタンが気に入らなかっただけの話だ。だが、ジタンはその男に災難が降りかかるよう願いをかけた。 ココの願いもむなしく、永久の平和は脆くも自分の弟の手によって崩されることになったのだ。 ジタンが願いをかけた明くる朝、隣の男の家には多くの虫とネズミが突然現れ、彼の部屋に残っていた食べ物は全て食い尽くされ、部屋の壁には埋め尽くすほどの虫と、ネズミによって無数の穴を開けられ、とてもじゃないが部屋には住める状態ではなくなってしまった。 慌てふためいて飛び出した男は、何が起こったのか理解できず、ただ呆然と今まで自分の家だった家を眺めていた。 ジタンが思っていたほどひどいことは起きなかったものの、放心状態の男を見てジタンはやったとばかりに喜んだ。 この花の種さえあれば、俺は何にでもなれる!この世を支配することも夢じゃない 皮肉なことに『幸福草』という名前はこのジタンがつけた名だったのだ。
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