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その日から僕たちは幸福草についてさらに調べ始めた。 図書館にある書籍は片っ端から読み漁った。 通常閲覧できる書籍をほぼ読み終えた頃、婆さんが特別保管庫へ保管されている幸福草の書籍も読ませてくれた。 それには国王にまで上り詰めたジタンが辿ったその後が書かれていた。 国民を顧みることもせず、自分勝手の限りを尽くしに尽くした国王は、ある日突然あっさりと暗殺されてしまった。 国王に恨みを抱く者は、側近を始め城内にあまりにも数多くいたため、警察組織ですら罪人を探し出す努力すらすることはなく、挙句の果てには病死として公表してしまったのだ。 自分勝手な国王を失ったエスタ王国の葬儀はまるで、お祭りかのような騒ぎとなった。 死人に口なしとはよく言ったもんで、誰も彼もが国王の死を喜び、歌い、叫び、踊り狂ったが、その事で咎めるものは誰一人として居なかったという。 国王は生前、外交に関してだけは恐ろしい程に力を入れていて、諸外国主要人物にはいわゆる「いい人」を完璧に貫き通していた。幸福草を使って外交していたとの噂もあるほどに。 諸外国へは愛想を振り撒き「いい顔」をして、国民からしたら国益を還元すらしないことが憤慨の種でしかなく、側近たちにとっては笑い話でしかないのだが、そのため、皮肉にもエスタ王国は国王の死を喜ぶ「狂った国」として全世界に報じられることとなった。
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