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幸福草(しあわせそう)、それは種から丁寧に育て、見事花を咲かせることができた者には咲いた花の数だけどんな願い事でも叶えてくれるという言い伝えのある植物。
かつてその草をめぐり世界中の国々で幾度となく争いが繰り返されてきた。今も尚、その争いは世界各国で繰り返されている。
僕の住むムタ王国もまた幸福草をめぐり、隣国との争いを始めようとしていた…。
シアワセになるための戦いは本当に意味があるんだろうか?
僕は日々思う。この国では15歳以上が大人とされていて、まだ13歳の僕は親の管理下に置かれ、何の権利も力もない。
もし僕が声を枯らし叫んだとしても、聞く耳を持つ大人などこの国には一人も居ないだろう。
この国だけではない、大人はみんな狂っている。シアワセは戦わなければ手に入らないもののように教育する。僕の親だって例外ではない、物心つくかつかないかというほど小さい頃から常々 ”欲しいなら力ずくで奪え” ”悔しかったら強くなれ” そう教えられて育った。
この国に優しく育てられた子どもなんてほんのわずかしかいない。おそらく金持ちの家の子どもだけだろう。
この国の9割方は貧困層だ。大人になれば、否応なしに国に使われ国のために働く。
お金が無いから力ずくで奪う、生活をしてきた。だから、役に立たない、奪えない、使えない子どもは要らないのだ。
それもこれも全て幸福草のせいだ。シアワセだなんて名前は似合わない。むしろ不幸草とでも呼ぶべきだ。
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