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「浅はかだなぁ~…」 「なぜ?」 僕が呟くと、カイは首を傾げた。 「僕ならまず手始めに、周りの人間と国民を懐柔する願いをかける。自分の都合よく動いてくれるようにね」 「確かに…その方がより少ない願いで思い通りの世界を作れる」 カイは納得した、というように頷いた。 「だろ?ジタンに足りなかったのは人には心があることまで考えられなかったことだ」 「そうだね、君に幸福草を渡したら完璧な支配者になりそうだ」 カイはわざと大袈裟に言った。 「本当に恐ろしいのは、そういう事ができる人間の手に渡ってしまうことだ。周りが気づかないうちに、気づかないように思うがままの世界を作り上げてしまう」 「じゃぁ、僕らでさえも駒のひとつになってしまうってことだね。気づかれないようにうまくやらなきゃ」 「まずは、今は種がどこにあるのかを探らなけらばならないね、しかも誰にも気づかれないように」 「これはもしかすると、いや、もしかしなくても、とんでもなく難しいことをやろうとしてるんじゃないか?僕らは」 カイの表情がほんの少し曇った。 「怖気付いた?」 「なんで君はそう平気で居られるんだ?間違えれば命の保証もないのに…」 「保証なんて…僕らにはそもそもないじゃないか。毎日暖かい食事を食べられるわけでもなく、暖かい寝床があるわけでもない。これからも疎まれ続けるだけならあんな家も、こんな国も、こっちから願い下げだ」 「そうだった…僕らなにも無い。なにもしがみつくようなモノは何も無かったね」 カイの表情が晴れやかになった。
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