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僕らが世界を変えるんだ。 婆さんに言われた時は、興味だけで調べていた幸福草でこんなことを言われる日が来るなんて思いもしなかったし、まさか細くて弱っちい僕らにはそんなことできるなんて思ってもいなかった。 でも、それから世の中を見る目が変わったのは確かだ。 目から入る情報、耳から入る情報を片っ端から集めた。そうは言っても、馬鹿ばっかりの大人たちからは尾ヒレのついた噂話程度しか入ってこないが、それでもその裏を読もうと、見ていないフリ、聞いていないフリをしながら必死で覚えた。 馬鹿な子どものフリをして警官や役人の周りをウロウロしてみた日もあった。 やはりこちらの方が確実な情報が得られる。 情けをかけてもらおうなんて思って近づいている訳じゃないが、こんな痩せっぽちな僕らを気の毒に思うのか、稀に心ある役人からはパンを分け与えてくれる人がいることも知った。 人を騙すのは気が引けたが、まずは僕らが生きる延びることが何より大事だ。心ある、と見える役人でも、もしかしたら偽善かもしれないし、パフォーマンスかもしれない。 これからは色々見抜く目も養わないとな…。 僕らにはやることがたくさんある。 なんせ僕らが世界を変えるんだから。
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