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第5管区以降の管区には学校と呼ばれる場所は無い。第1から第4までの学費を払える金持ちにしか教育を受けさせない。そうして教育を受けた者が管区特区の職員になる。そしてその職員により配られるわずかな食事だけを命綱として生きる者が第5管区以降の人間だ。 だからもちろん僕の住む第7管区にも教育機関はないし、特区職員から配られる必要最低限にも満たない食事で生活している。そして僕はその中のBエリア住んでいる。 ここには約40万もの人間がいて、僕と同じ年以降に生まれた子ども達には僕と同じく不幸草と考える子どもがいる。不思議なことに僕より年上、つまり14歳の子どもと大人には不幸草という考えを持つ人間は僕の知る限りでは、今のところ皆無だ。 僕ら不幸草と考える子ども達と、幸福草と信じて疑わない子ども達と大人には決定的な違いがある。 彼らはまるで召使いか執事のように親の言いなりになり、ロボットのように機械的に物を奪う。意志の無い瞳を持つ人が多く、寡黙で強靱な体を持つ。感情はもとより表情さえあまり無いようだ。彼らに口は要らない、必要なのは力と体だ。口より先に拳が飛ぶ。そういう奴らだ。 僕も十四歳になるとサイボーグのようになるんだろうか? 反対に僕らは、小さく身軽で(ってのは子どもだからかもしれないけど)痩せっぽちで頼りない。腕も足も体も細く、表情豊かな瞳を持つ子が多い。 僕らがまだ未熟なだけかとも思われるが、僕らより年下でも意思のない瞳を持ち、強靭な体を持ち、親に従順で口より先に拳が飛ぶ子も多数いる。 僕らは考えたり頭を使う事は得意だけど、力も強くないし、何しろ争うことは嫌いだ。考えることと、すばしっこいことだけが取り柄。
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