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ここまでの知識はすべてこの図書館で手に入れた。 学校のないこの管区では知恵も知識も自ら学ぼうとする意思がないと学ぶことができない。でも、裏を返せばタダで知識を得ることができる。 こんなにお得に賢くなれて、タメになる場所は他にはない。 僕たちが図書館で何をするかっていうと、幸福草について調べるのだ。 「なぁ、アル今日はどこ探す?」 「そうだな、一階で残ってるのは53番通路だけだろ?とりあえずそこから探してみようよ」 ここの図書館には膨大な数の書物が置いてある。 建物は三階建てで、各階には70番まで通路がある。通路の両側には10メートルほどの本棚が並んでいて、たくさんの書物がきちんと整理されて並んでいる。 唯一の管理人、ミイ婆さんが毎日少しずつ掃除して整理しているらしい。 ここにあるほとんどのものが100年以上前のもの。つまり、ここ100年で人間の知能は信じられないくらい低下し、文字を書ける人間どころか、読める人間すら少なくなっているのだ。 僕は適当に一冊の本を手に取り開く。どうやらこの本には幸福草のことが書いてあるようなので、読み進めることにした。
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