0人が本棚に入れています
本棚に追加
当時、あいつは女子と仲が良かった。
小学校低学年の性差など確かにたかが知れているかもしれないが、確かに存在するのだ。
男子は女子に手を上げることを忌避するし、女子は男子を少し敬遠気味だ。
まあ、女子に手を挙げた男子は女子グループ全体から敵認識される。それを本能で知っているためかもしれないが。
挨拶くらいは当然する。おはようといえばおはようと返ってくるがそれまでだ。
日常会話などどんな話をしたのかすら覚えていない。
だが、あいつは女子と一緒にいるのをよく見たし、楽しそうに話していたのを覚えている。
女子がキャーキャーと騒ぐ輪の中であいつも一緒になって騒いでいた。
ま、すぐに呼びつけて外に遊びに行くんだがな。
学校が終われば、俺はあいつと二人で帰っていた。
何を話していたんだかはもう覚えていない。でも楽しかったことは確かだ。
親によく言われたもんだ。
「危ないから帰るときは二人で手をつないで帰ってくるのよ」
だから、だから俺とあいつは二人で手をつなぎながら帰っていたのだ。
そしてランドセルを放り出したらすぐにまた、公園へと走っていく。
家からサッカーボールを持ち出して。
最初のコメントを投稿しよう!