或る猫の噺 壱

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ちょいとそこのお兄さん。 あっしの話を聞いちゃあくれないかい? にゃっはっは、そう驚きなさんな。今は丑三つ時、猫だって喋れるようになるのさ。 夜が明ける前に話し終えるから、ちぃとばかり時間をおくれよ。 良い?そりゃありがたい。 さて、そうさなぁ。まずは自己紹介といこうか。 とはいえ名前なんぞないんだけどね。なンせ野良だから。しかしそれも不便だし、そうだ、黒とでも呼んどくれ。ほれ、見事な黒毛だろう?安直?うるせぇやい。 こほん。 え、さっさと本題に入れ?せっかちだねぇ。女に嫌われるぜ?余計なお世話?はは、そりゃそうだ。 まァダラダラしてても仕方ねぇや。ほんじゃま、始めさせてもらおうかね。
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