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安眠ライフを勝ち取るために
「てりゃっ!」
何もかもが歪に湾曲した空間で僕は怪物の軍団と対峙していた。
いくら鎌を振り回しても数がなかなか減らないどころか、余計数が増えているような気さえする。
「ハァ……ハァ……これはいくらなんでもきりがない」
体力が次第に削られている僕とは打って変わって、化け物達は徐々に僕との距離を縮めていく。
嗚呼、これは夢だ。
夢だとは分かっているんだけれども。
「もう、いい加減にしろー!」
僕はそう叫びながら、鎌を振り回しつつ、軍団の中へと特攻した。
目を開けると見慣れた居間の天井が眼に映った。
どうやら居間の火燵で居眠りをしていたらしい。それもあまりにも奇抜な格好で。
僕はゆっくりと体を起こし、火燵に置いてあったお茶で喉を潤す。
「戦い方がなっていなかったな、50点」
その声を聞いて僕はお茶が気管に入りそうになり咽せる。
僕がお茶を飲んでいる中現れたのは、髪が地面まで着くくらい長い白髪の男。
僕が夢の中で怪物の軍団と対峙しないといけない羽目になった諸悪の根源である。
「仕方ないだろ。居眠りするとは思わなくて心の準備が出来ていなかったのだから」
僕は涙目でそういいながらさらにお茶を飲む。
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