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生温い風が僕を包み込んで悪寒の他に、身体からベタッとした汗が。
「満月だ。」
気が付けば夜空には、切り付けたら真っ赤な血が滴り落ちてきそうな、綺麗で丸い満月が出ている。
『チャラリラリ~♪』
再び携帯が鳴り、僕は手に持っていた携帯を開いた。
新着メール一件。
『ピッ!』
『申し訳ありません。
一つ忘れておりました。
「鬼ごっこ」の「鬼」は私共の事でございます。
貴方様は、その「鬼」…私共から逃げる虫でございます。』
「…。」
虫…って、何だよ…!!
悪戯にも程がある!!
丁寧な言葉を使っているからか、虫って言葉が余計強調され、酷い物に感じる。
「こいつら一体、何を考えてるんだ?」
僕はこの馬鹿馬鹿しいメール(だけど嘘を言っているとは思えない)に悪意と寒気を感じ眠る事が出来なかった。
―――――――――――――
『7:30』
気が付けば満月が朝日に変わっている。
僕は学校の支度をし、朝食もとらずに家を出た。
「おっ!涼弥!!」
教室に入った途端、一馬が僕の名前を呼び走って来た。
「あ、おはよー。」
僕は取りあえず朝の挨拶をする。
すると一馬も
「お、おう。おはよう。」
と、僕の顔の前で歯切れ悪く言った。
そんな一馬を僕は目の端でチラッと見、自分の席に着いた。
「…ってじゃない!!」
いきなり一馬は僕の顔を見て叫んだ。
急に叫んだ一馬を僕は見る。
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