満月の夜に

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「何だよ…どうした?」 言いながら僕は、自分の隣りの席の椅子を引いて座れば?と手で一馬に合図。 「おう。」 一馬は一言呟き座り、机に肘を立てて顎(あご)を乗せ遠い目をした。 一体、何があったんだろうか? 一馬はそのままの格好で動かない。 話しがあったんじゃないの?と思い、僕は一馬の顔の前に手を向け、上下に動かし反応を確かめた。 やっぱり動かない。 痺れを切らした僕は一馬の耳元で叫んだ。 「おーい!!!!!」 「うわっ!?」 ビクッと身体を震わせ、一馬はやっと反応した。 「どうしたの?」 驚きで放心状態の一馬の肩を優しく叩き、僕は聞く。 すると一馬はズボンのポケットから携帯を取り出し開いて、僕に中身が見える様に画面を明るくした。 「ん?見て良いの?」 僕が聞くと一馬はこくこく頷き、携帯を僕に渡した。 正確には押し付けてきた。 僕はその一馬の携帯に目を通す。 メールだ。 『初めまして海藤一馬様。』 ん?この出だし…。 僕は引っ掛かりながら、更に続きを読む。 『私共の贈り物はお気に召しましたでしょうか? あれはとても大事な物。 無くされては困る物でございます。』 やっぱり…。 「おいっ!!一馬!!お前、このメールどうしたんだ!?」 僕は自分でも驚く位、デカい声で叫んだ。 僕に叫ばれた一馬は椅子から落ちて頭を打ち、両手で後頭部を押え悶絶。
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