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「今の俺達と同じさ。」
ははは…と笑う。
「それで…その金城悠斗って友達は参加したの?」
乾いた声で笑う一馬に、早く続きを話して欲しくて僕は促す。
「…あいつは…あいつは参加しなかった。」
固く手を握りしめる。
「参加しなかった…。」
続きが気になったけど、何だか怖くて聞こうと言う勇気が出ない。
「あぁ…。あいつは参加しなかったさ。
そして大事な者、大切な人を失った。」
「…。」
僕は何も言えない。
鬼は本気なんだ。
メールの内容を実行する…。
悪戯なんかじゃないんだ…。
変な汗が吹き出て、悪寒を感じた。
そんな僕に一馬はとどめの一言。
「殺されたんだ。」
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終業式が終わって、僕は鬼からのメールを待った。
鬼のアドレスは知っている。
自分から連絡をとろうと思えばとれる。
だけど…一馬の言葉が頭から離れない。
『殺されたんだ。』
…あの後、一馬は僕に詳しく金城悠斗の話しをしてくれた。
「鬼ごっこ」に参加しなかった為に大切な人を失った事。
悠斗を一人で育ててくれた母親。
その母親の葬儀の時、棺桶に入っていた母親の遺体には内臓・脳・眼球がなかった。
鋭い刃物で腹を斬られ、斧で頭蓋骨を割られた状態で見付かった。
想像するだけで、恐怖を感じる。
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