ボタン

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一体、何がおかしいのか…? 僕からしたら、そのボタンを僕の物だと思って息を切らし追いかけて来た、一馬の方がおかしい。 僕は暫く一馬の様子を見ていたが、飽きたので帰る事にした。 元々、帰るつもりで歩いていたのを一馬に呼び止められたのだ。 そう思い、歩こうとしたら 「う~ん…。」 と、一馬は唸り出した。 そんな一馬をほっといて、僕は歩き出す。 「あっ!!ちょっと待てって!!」 僕が五歩、足を踏み出した時に一馬は慌てて叫んだ。 「何?用は済んだだろ?」 立ち止まり、腕を組んで僕は言う。 「まだ済んでない!これ、お前ので違いないんだよ!」 一馬は叫び、ポケットから一枚の紙の切れ端?を取り出し目の前で振った。 「どう言う事?ボタンは僕の物だって?」 組んでいた腕を崩し、僕は一馬に近付く。 一馬は近付いた僕に、その紙の切れ端とボタンを渡して 「確かに渡したからな。」 と一人、向こう側へ走って行った。 「…。」 残された僕は仕方なく一馬から手渡されたボタンを片手で握り締め、もう片方の手で紙切れを見た。 『このボタンは三年一組13番、高槻涼弥様の物です。 他の誰の物でもありません。』 そう書いてある。 確かに紙切れが指しているのは、僕。 だけど全く、身に覚えがない。
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