満月の夜に

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「もしもし?」 携帯を耳にあてて一言。 『…。』 ん?何も聞こえない。 僕は耳から携帯を一旦放し、画面に目をやった。 「…。」 新着メール一件。 …電話じゃなかったんだ。 気付かなかった自分に唖然。 いい加減、目を覚ませ自分。 『ピッピッ!』 僕は新着メールを開いた。 『初めまして高槻涼弥様。 私供の贈り物はお気に召しましたでしょうか?』 「贈り物?」 ボタン…か? 『あれはとても大事な物。 無くされては困る物でございます。 取り扱いには十分お気をつけ下さいませ。 さて私共が何故、貴方様に贈り物を差し上げたかと申しますと… 「鬼ごっこ」をして頂きたく思い、貴方様に贈らさせて頂きました。』 何だよ…これ? 鬼ごっこ? てか、何で僕のアドレスを知ってるんだ? 僕は不思議に思い、メールの続きを読んだ。 『貴方様には選択肢等はございません。 必ず、この「鬼ごっこ」に参加して頂きます。 もし、参加を拒むのでございましたら…貴方様の大事な者の「命」を頂戴しに参ります。 尚、「鬼ごっこ」の詳しい説明は明日の晩にメールで。 それではゆっくりと、お休み下さいませ。』 「…誰かの悪戯…だよな?」 デカい独り言。 口ではそう言っても何だか背筋に冷たい物を感じ、僕は空気を入れ替えようと窓を開けた。 「ふぅ…。」 溜め息を一つつく。
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