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(眠りたいのに眠れない、仕事で体は疲れているはずなのに…お酒だって飲んでるのに全然眠くない。)
明日も仕事だし時計の針はすでに深夜2時を回っている。
少しでも寝やすい体勢になろうと布団の中をゴロゴロとするが、眠くなるどころか私の神経は研ぎ澄まされたナイフのように鋭くなり、寝ようと思えば思うほどますます覚醒してしまう。
(あぁ、もうやだー、全然眠くない!さっきのお酒で最後にしようと思ったけど…仕方ない、強めにもう一杯寝酒でも飲むか。)
深夜に強いお酒を飲んだらお肌に悪いのもわかってる、でも眠れないより全然マシ。
布団からもぞもぞ這い出して、キッチンに置きっぱなしのグラスに再度ウォッカを注ぎ、カロリーゼロのサイダーを少なめに継ぎ足し一気に流し込む。
(これで少しは眠気も来るでしょ。)
アルコールが胃に染み渡り熱くなるのを感じた。
少しすると意識が少し飛んで、心地よい睡魔がやってくる。
(あぁ、この感じ…やっと眠れそう。)
布団へとそっと潜り込み、明日の仕事の事を考える。
(目覚ましもセットしたし、書類の準備もすでに終わってる。あとはいい夢を見て明日も頑張ろう。)
安心感と共になんとも言えない柔らかい睡魔に誘われ、静かに眠りに落ちていく。
ビープ音と共に、声が聞こえた。
『イカガデシタカ?』
「とても刺激的だったわ。」
カプセル型のマシンから静かに降りながら、旧式のロボットに答える。
「眠くなるってああいう事だったのね、ジンルイって、本当に面白い。お酒で酔う感覚も、とっても気持ちいい。」
『ミナサマ ソウオッシャイマス。』
「あんなにも非効率的なのに…もっともっと体験したいわ。」
『ドノヨウナコトヲ イタシマショウ?』
「そうね、社内恋愛というものを体験したい、それが終わったら結婚と出産かな。」
『カシコマリマシタ、ソレデハコチラニ。』
旧式のロボットに促され、新型のアンドロイドは歩き出す。
「追加で手料理を作って食べると、子育てもお願いね。」
『ゴキボウノママニ。ココハ アンドロイドセンヨウ アミューズメントパーク デスカラ。』
ジンルイが滅び、彼らの作った人工知能だけが残った今、古き良きジンルイの体験を求め多くのアンドロイド達がここへやってくる。
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