日常

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そんな狂った世界で、その影響を多少受けた街、カレン街。 街の北の方にある小高い山の頂上、そこに元世界最強の魔術師夫婦の息子のガイ・カディックと言う者がいた。 ガイは、屈強な筋肉が付いている訳でもなく、知識が常人よりも少し豊富なだけで多少顔が整っているくらいで特に両親と比べ突出したものは何でもなく、本当に最強の夫婦の子かと聞きたくなるほど普通で特別な所なんて無い青年だった。 あえて特別な所をあえて挙げるなら、その地域にしては珍しい黒髪と、花飾りを1分もかからず作る事が出来る手先の器用さが、両親から受け継がれている所。 あとは10歳の頃に喘息を完治させた時から病気にかからない体となった事ぐらいである。 その彼は今、自身の超人級の手先の器用さを使って1人の見知らぬ女の子、サラのために花飾りを作っている所だ。 「ほら、出来たぞ。」 そう言って、ガイは目の前の5歳ほどの少女に渡す。 サラは即興で作った物とは思えないほどの完成度に驚いてガイの事を褒めちぎり、キラキラと目を輝かしながらそれを受け取り全体を舐めるように見入り始める。     
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