日常

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サラは手のひらの上で起きた出来事が理解できないようすだ。その感覚はあたりまえだ。ガイがやった事を一言で説明するとすれば、赤の他人が作った言語を誰の説明も受けずに自分で解読した、と言う所だろう。つまり普通ならありえないと言う事だ。 驚いているサラをよそに、ガイは風を操って自身と少女の口に飴玉を放り込んで舐め始めた。ほんのりイチゴの味がした。 「お兄ちゃん凄い!あれどうやってしたの?」 やっと頭が追いついたサラがまたキラキラと目を輝かせながらガイに詰め寄る。 「どうやってしたのと言われても・・・・」 ガイにとっては感覚でやっている事なのでどう説明しようか悩んでいた所、女性の声がサラの後ろの方から聞こえた。 「お~い!ガイ、サラちゃん!!」 かなり距離があったため良く聞き取れなかったがそう言っていたと思う。 ふとガイは眼前に迫っていたサラの方へ瞳を動かすと、先ほどの女性の方へ首を向けて顔を青く変えていた。 今ならサラを捕まえられると思い、両腕を広げるが彼女は腕の隙間を通って抜け出し、切羽詰った顔で風の魔法を使って上空へと飛び出してその場から逃げ去ろうとした。 だが、ガイはまるでそれを先読みしていたかのように防御系の魔法の応用でサラの行く先に壁を作り少女を足止めする。 何故ガイが逃げるサラを止めるのかと言うと、先ほどからガイの下へ走ってきている女性は内科外科両方の治療を行えるのでサラの虫歯の治療も彼女がやる予定だったのだが、治療日の前日にサラが家出したので、女性と交流を持っているガイが連絡を貰ったからなのだ。 「逃げちゃだめじゃないかぁ、サラちゃん。」 ガイはサラが逃げるとその先に壁を作り出し続け、自分を中心とした歪な球を造って彼女の逃げ場を無くす。 そして彼女の逃げ場を移動できる空間を更になくしていく事で精神的にも物理的にも減らしていき、最終的にサラの体まで壁で覆うと、サラがその場に座り込んで泣き出してしまった。 サラが泣き出すとガイは魔術を解除して少女の元に駆け寄った。 「うわ~ごめんサラちゃん!」 と泣き叫びながらガイはサラを抱擁する。今のガイにはこれしかできなかったのだが、今のサラの心情では逆効果になり余計泣き出す。
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