04:55 日の出前

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「あぁー? あぁ、あのメス猫どもと遊んでるとこ、見てたの? お前? ばーか。ありゃ、ちょっと揶揄ってやっただけだ。 本気で相手にするわけねぇだろ? 俺はいつだって、お前に夢中なんだぜ?」 「クロ、ぼ、僕だって! だけど、僕心配なんだ。 僕みたいな田舎モノが、君みたいな都会の……」 「レイ、ごめんな。 本来のお前は、こんな廃れた町にいちゃいけないヤツなんだよな。 お前、古巣に戻りたいか? あっちは、戦いなんてない、平和な町なんだろう?」 「え、どうして、僕の古巣のこと……」 「世の中にはな、どうにもお節介なヤツがいてな。 聞いてもないこと、ピーチクパーチクってさ…… レイ、あのさ。……お前、あっちじゃメスブタどもの相手、させられてたんだってな」 「っつ。 やめてよ、クロ! あの()達をそんな風に言わないで。 お腹を空かせた僕に食べ物を分けてくれたのは、あの娘達なんだ。 それに、あの娘達は好きであそこにいたわけじゃない。 か、彼女らは……、売られてきたんだ。 そして……、 きっとまたどこかに売られるんだ…… 僕は彼女達の、話相手だったんだ……グズッ」 「なくなよ、レイ。 ごめん。わかってるよ。お前のそういう純粋で優しいところに惚れてるんだ、俺は。 そんなお前が徴兵制度で、ここの前線部隊に送られて。 しかも、徴兵期間が終了したっていうのに、俺のために残ってくれてるんだろう? 本当は辛いんじゃないか?」 「クロ……。 ううん。辛いことなんて、ないよ。 僕はクロと一緒に居られるだけで幸せなんだ。 だから、クロ。 今日も生きて……」 「レイ……、あぁ。さっさとこの戦いに勝って、お前の上に乗っからなきゃな!」 「もう! クロったら、スケベっ!」 「ははははっ」
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