Wild Passion

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 やはり酔いのせいで咄嗟には思考が回らないのか、呆然とする自身を他所に、頬を包み込むように添えられた掌がゆるりゆるりと髪を掻き上げるように耳裏までをも撫で上げる。突如、互いの間に立ち上った何とも艶めかしい雰囲気に焦る暇もなく――長く形のいい指先でツイと唇を撫でられ、まるでキスをされるかのようにいきなり顔を近付けられて、さすがに驚き、冰はビクリとソファの上で半身を起こした。 「ちょい待ちっ! 何考げーてんだてめえ……ッ!」  そう言うが早いか唇を奪われそうになって、慌てふためいた。  冰は飛び起きるように腰を引くと、今にも自分を抱き締める勢いの氷川の肩をガッと掴んで、思い切り眉根を寄せた。 「戯けてんじゃねーよ! 悪ふざけにも程があるっ……って……!」  余程ビックリしてか、そう怒鳴りながらソファの上で体勢を立て直すように身を捩る。その瞬間にローブの合間からチラりと太腿(ふともも)(あらわ)になり、ガラにもなくカッと頬が染まった。  そういえばまだ下着もつけていなかったことに気が付いて、冰は声を上ずらせた。
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