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「とにかく冗談よせって……! どういうつもりか知らねえが、第一……てめえノンケだろうが……!」
「――ノンケ?」
「……っ、つかそれ以前に俺、タチだし……! だからてめえとはそーゆーの無理っ……ッ」
もうおどけて誤魔化せる雰囲気ではないことを悟ってか、或いは完全に余裕を失ったわけか、冰はいきなり核心に突っ込むようなことを口走ってしまった。
「それ、専門用語よせって。タチって何だよ、分かるように言えって」
まるで落ち着いたふうに低い声がそう問う。
逃がさないとばかりに外してもらえない視線に見つめられながら、急激に背筋を這い上がってくるゾクりとした感覚に驚いて、冰は更に早口でまくし立てた。
「だから、つまりそのっ……俺、ゲイっつったって誰でもいいってワケじゃなくって……」
「俺が趣味じゃねえってことか?」
「……や、あの……そーじゃなくってよ! つまり……挿れるの専門っての? だからお前とは無理っ……! てか、何でいきなりこんなことになんだよ……! とにかく……俺りゃー、てめえに突っ込まれるなんてご免だし、かといって突っ込む気もねえってことで……」
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