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「あ、はぁッ!? 誰が真っ赤……なんて……」
「触ってるだけでも分かる。頬っぺた、ものすげえ熱いぜ」
「……っそ」
「嘘じゃねえさ」
遠慮がちだったキスはここまでか、その言葉と同時に完全に押し倒されて肩から背中までを強く抱き締められながら激しく唇を奪われた。口中を掻き回され、歯列を割って舌を絡め取られ、呼吸さえも取り上げられそうだ。思考は蕩け、このまま流されてしまいたいと思う情欲が顔を出し始めて冰は焦った。
身体中が灼熱を帯びたように熱くなり、唇だけでは到底飽き足らずに、目の前の男にすべてを奪われたくて堪らなくなってくる。
僅かにでも気を緩めれば、強引に組み敷かれて、めちゃくちゃに乱されてみたいなどと、淫猥極まりない妄想までもが脳裏を侵すようなのだ。
野生の獣のような強くて大きいこの男になら抱かれてみるのも悪くないだろうか、形のいいその手の中で握り潰されてしまいたい。彼の凶暴な雄で、昇天させられるくらいに掻き回されてみたい。ほんの見せかけだけの抵抗を封じ込められ、求められたい、犯されたい。
激しく欲情した彼に組み敷かれて悦ぶ自身の姿が脳裏を過ぎったと同時に、冰はそれらを振り払うように本気の蹴りを彼の脇腹目掛けて繰り出していた。
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