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そんな様を感じ取ったというわけか、スルリと下方に伸ばされた指先が太腿を撫で、まさぐり、ローブの紐を解き、下腹の辺りをユルユルと弄られる感覚にビクリと腰が浮く。このまま流されてしまってもいいと思う反面、だがやはり踏み切れないのも否めない。頭の片隅に僅かに残っている理性を手繰り寄せるかのように、冰は懸命に瞳を見開いた。
「や……べえって……! は……ぁ、氷……よせっつってん……だ」
これがいわゆるソレ目的で近付いた相手のような、お互いに一夜の遊びと割り切っている仲であればこのまま流されるのも悪くはないが、いくら何でもこの男が相手では状況が違う。
冰は自身を呑み込もうとする欲望の波を押し退けるように、腰元をまさぐっているその腕を探り当てると、ガッと強く掴み上げた。
「マジでよせって、氷川……! てめ、こんなことして後でぜってー後悔すんに決まってる……っ、だから……っ」
ノンケのお前が興味本位でこんなことに足を突っ込んでも後悔するだけだ。だからこれ以上は本当にやめておけというように制止の言葉を口にした。
「後悔なんぞしねえよ。俺が気になってるのは、今お前がどう思ってるかってことだけだ」
「……は?」
「俺とこんなことをするのは勘弁だと思ってるか? 本当に嫌なのかどうかって、それが知りてえだけ」
「や、勘弁っつーか……俺、仮にも失恋したばっか……」
「けど……もう勃ってんぜ?」
いつの間にかローブの合間を割り込んできた指先に熱を持ってしまった雄を撫でられて、ビクリと背筋が疼いた。
「下着――まだ着けてなかったのか?」
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