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「ああ!? 誰がオッサンだ、誰がー!? てめえらこそ何処に目ェ付けてやがる! 小僧のくせにいきがりやがって!」
酔いも手伝ってか、自身の中で何かがブチ切れるのを感じて、そう凄み返した。
先程からの怒りを更に煽られたといってもいい。丁度いいうさ晴らしだ、そんなふうにも思えた。
案の定、間髪入れずに小競り合いになって、だが深酒をし過ぎたせいか、或いは多勢に無勢だったわけで、気付けばズルズルと引き摺られるようにしながら袋小路へと連れ込まれて、しかもあろうことか残飯の積み上げられたゴミ箱の羅列の中に突き飛ばされて更にブチ切れた。
ガラガラと音を立てて蓋やらゴミやらが引っくり返る。夏の夜の蒸し暑さも手伝ってか、ムーッとした悪臭が鼻をついて、怒りは更なる沸騰状態だ。
「てめえら、おとなしくしてりゃ調子コキやがって……! 舐めてっと燃やすぞ!」
「はあ!? 何言ってんの、このオッサン!」
「この状況でそーゆーこと言えるってのがすごくね? 調子こいてんのはてめえだろって」
「ぐははははっ! しかも燃やすってさ、マジ、頭どーかしてんじゃね? クソジジィが!」
男たちの高笑いが頭上に響き、脳みそが溶け出しそうなくらい怒りは滾った。
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