ママ友は一番のお友達

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ママ友は一番のお友達

「ね。今からさ、きこちゃんのママ、呼んできてくれない?」 ゆりちゃんママは静かに私に言う。 私は何も言わずうなずくだけだった。 これから何が始まるのか。真実がどこにあるのか。私は何をしているのか。 どうしてこんなことになってしまったのか。 もうなにも考えられなくなっている。 私はただただ、幼い頃のマキと遊んだ日々のことを想い出して、あふれでる涙を止めることさえできなくなっていた。 あれは一週間前。 PTAの募集かー。どうしよう。 私は、小3の娘、まきからもらったPTA募集のお知らせのプリントを片手にため息をついた。 あれは数日前、きこちゃんのママから聞いた話を思い出す。 「だから、気をつけた方がいいんだって、ゆりちゃんのママ。」 「うそでしょ。」 「ゆりちゃんのママ、平気で嘘をついて、みんなにラインで送る、ドラマみたいな話だけど、ほんとだからね、まきちゃんママも気をつけてよ。もうすぐPTAの役員決めだから。なんたって、会長だからね、ゆりちゃんママは。」 「だって、あんなに優しいゆりちゃんママだよ?信じられない。」 「信じなくてもいいけどさ、ほら、きこ、バレエの時間だよ、支度して。」 「はーい、じゃあね、まきちゃん」 きこは遊んでいたリカちゃんを放り出し、名残惜しそうに、まきに別れを告げた。 玄関でヒールを履きながら、続けて話す。 「とにかくさ、関わらないのが一番だよ。なおみちゃんのママ、精神的に病んでしばらく入院したって知ってるよね。大変だったみたいよ、ご家族のかた。あ、もういかなきゃ、じゃあね」 あれから数日経っている。 きこママ、私、ほんとは知ってるんだよ。 嘘、みんなに流してるの、きこママだってこと。 だって、ゆりちゃんママから聞いたんだもの。 私はラインを起動し、ゆりちゃんママに言われた通り、3年2組のグループラインにトークをした。
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