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亜美ちゃんには、悪気はない。 あるのは、善意たけだ。 鼻歌混じりにキッチンに立つ亜美ちゃんの後ろ姿は、なんとも言えずに愛らしい。 愛すべき存在でしかない。 「そーだ。デザートも買ってきたの。ツインシューとマンゴープリン」 俺の方へ向いて、マンゴープリンとツインシューを手にして笑顔を見せる亜美ちゃん。 「... あ、俺マンゴープリンがいいかなあ」 小さめの容器のマンゴープリン。食べられるとすれば小さめの方だ。 だが、亜美ちゃんは 「大丈夫。二個ずつ買ってきたから心配しないで」 と愛らしく微笑んだ。 亜美ちゃんは、きっといいお嫁さんになる。 「あー食後に飲もうと思って、オレも買ってきたの」 がさがさとビニール袋を言わせている亜美ちゃんの横顔がかすんでみえてきた。 オレ。 カフェオレだろうか。ティーオレだろうか。 どちらでも構わない。 誰が悪い訳じゃない。 オレは、オレのせいで泣く。
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