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「俺帰るから今月の方針と来期の計画資料にしといたから目通しといて、お疲れ様」
側近の部下に仕事を言い渡し、会社を後にする。
トコトコトコ
トコトコ
トコ
ピタ
会社からすぐ近く、1人で住むにはあまりにも広い都心の四階建て一軒家の自宅の前で思わず立ち止まる。
「はぁ…
親父の会社に入れば、夢や希望に溢れたオフィスライフが出来ると思ってたのに。
仕事が簡単過ぎてスーパーつまんねぇ……
楽しい事ないかなぁ」
深いため息を吐きながら家の鍵を開ける。
無造作に服を脱ぎ捨て、着慣らしたパーカーとジャージに着替え洗面台で顔を洗う。
ふと見上げた先には、父親似の切れ長の目と母親似の筋の通った鼻と薄い唇、少し目にかかるくらいにカットされた黒髪で中性的な顔。
「ははっ
顔は良いのに目が死んでるわ」
引き攣った笑みを浮かべ鏡を見ながら呟いたその時、
ガタンッ
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