ウバタマ様

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 隆司は虚ろな眼でウバタマ様でボロ儲けしようと,一方的にしゃべり続けた。右手に焼酎の入ったグラスを持ち,グラスを置いたかと思うと,カチカチになったメザシをライターで炙ってはしゃぶりついていた。  子供の頃から近所の悪ガキ仲間だった三人は,暇さえ見つけては繁の家に集まりどうでもいい話で盛り上がっていた。  繁の両親は数年前に他界し,天涯孤独の独り者になってからというもの,頻繁にこの二人が家に来るようになり,おかげで寂しさを感じることはなかった。 「で,どうよ? お前らと一緒ならウバタマ様を見つけられるんじゃないかと思うんだけど」  繁と勝は焼酎を口にしながら,隆司の話を聞き流していた。隆司はなにかに熱くなると,それしか見えない性格で,子供の頃から好きな女ができたと言ってはストーカーのように付けまわすことがあった。 「よぉ,隆司はそのウバタマ様ってのが本当にあると思ってんのか? あったとしても,麻薬かなんかの成分が入ってる違法なやつなんじゃねぇのか? だいたい○○様って,なんだ? 様って……」 「そりゃ~あるだろ。実際に伊藤の爺さまがやったって言ってんだし。まぁ,違法かどうかは知らねえけど。勝は興味ないんか?」 「だってその話,俺も何度か爺さまから聞いたけど,都市伝説みたいなもんじゃねぇか。ド田舎の」 「アホか。実際にやったことがある人間がいるのに都市伝説な訳ねえだろ」 「でもなぁ……探すにしても爺さまにどんな植物か確認しないと,どうしようもねえだろ。もう相当ボケてんだろ? それかネットでウバタマ様って検索したら出てくるかな?」 「どうだろうな……。随分と爺さまを見てないけど,博史さんに聞いてみるか?」 「なんて聞くんだ? 博史さんのお父さん,ボケてますか? ってか?」 「勝,お前,博史さんにぶっ飛ばされるぞ。そうじゃなくて,最近,博史さんとこの爺さまを見ないけど,調子でも悪いのか?って感じで」 「まあ,それなら普通だな」 「で,爺さまに会えそうだったら,ウバタマ様が,どんな見た目かくらいは教えてもらえんじゃねえかと思うんだ」
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