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マンションの12階。
僕の部屋のドアを出たところで、君は振り向いた。
「私、ひとりの人と二度は寝ないことにしてるの。
だから、もう私には声かけないで」
貼りついたように綺麗な微笑みを浮かべて、君はそう言った。
唖然とする僕にくるりと背を向けて、君は靴音を響かせてフロアを横切り、向かいのエレベーターに乗り込んだ。
12
↓11
扉が、閉じていく。
その刹那、僕は叫んでいた。
「逃げるなよ!!」
君が弾かれたように顔を上げて、僕を見た。
その瞳が、揺れていた。
君と僕の視線の間で、音もなく扉が、閉まった。
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