エレベーターの中の嘘つきな君を

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 12↓   11   ↓10 狭く暗い非常階段に、僕の存在だけが、こだまする。  11↓   10   ↓9 駆け下りる靴音。 壁にぶつかる肩。  10↓   9   ↓8 手すりに擦れるジャケット。 そして僕の、決意が反響する。   9↓   8   ↓7 人の噂なんか、どうでもいい。 『誰とでも寝る女』 『高飛車で扱いにくい女』 でも僕の目に映る君はいつも、どこか淋しげで。 昨夜も僕の腕の中で、熱い身体とは裏腹に、君がかすかに震えていたのを 僕は知ってる。   8↓   7   ↓6 乱れ、切れる、息。 でも足は止まらない。 止めない。   7↓   6   ↓5 噴き出す、汗。 息が、上がる。 滑り降りて行くその閉じられた安全な箱の中で、 君は何を考えてる? 君を追う僕の、脈打つ鼓動を感じてるんだろう? 心のどこかで、信じようとしてるんだろう?   6↓   5   ↓4 逃がさない。   5↓   4   ↓3 傷つき怯えた目をした小さな君を、 捕まえる。   4↓   3   ↓2 どんなに抵抗したって構わない。 拒みたいだけ、拒めばいい。 そんなのに惑わされない。 無理矢理にでも、抱きしめる。   3↓   2   ↓1 あの箱の扉が開いた、その一瞬。 必ず君を、引きずり出す。 捨てられた、気位の高い猫みたいな君を。 心ごと、本当の君を、捕まえる。   2↓   1    ̄ 長い非常階段に残してきた僕の鼓動を、 君のその耳に直接、 きっと響かせてやる。 目の前の、この扉が開いたら。 肩で息をした獰猛な僕が、 必ず君の嘘を暴いて、 抱きしめる。 Fin.
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