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11
↓10
狭く暗い非常階段に、僕の存在だけが、こだまする。
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10
↓9
駆け下りる靴音。
壁にぶつかる肩。
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9
↓8
手すりに擦れるジャケット。
そして僕の、決意が反響する。
9↓
8
↓7
人の噂なんか、どうでもいい。
『誰とでも寝る女』
『高飛車で扱いにくい女』
でも僕の目に映る君はいつも、どこか淋しげで。
昨夜も僕の腕の中で、熱い身体とは裏腹に、君がかすかに震えていたのを
僕は知ってる。
8↓
7
↓6
乱れ、切れる、息。
でも足は止まらない。
止めない。
7↓
6
↓5
噴き出す、汗。
息が、上がる。
滑り降りて行くその閉じられた安全な箱の中で、
君は何を考えてる?
君を追う僕の、脈打つ鼓動を感じてるんだろう?
心のどこかで、信じようとしてるんだろう?
6↓
5
↓4
逃がさない。
5↓
4
↓3
傷つき怯えた目をした小さな君を、
捕まえる。
4↓
3
↓2
どんなに抵抗したって構わない。
拒みたいだけ、拒めばいい。
そんなのに惑わされない。
無理矢理にでも、抱きしめる。
3↓
2
↓1
あの箱の扉が開いた、その一瞬。
必ず君を、引きずり出す。
捨てられた、気位の高い猫みたいな君を。
心ごと、本当の君を、捕まえる。
2↓
1
 ̄
長い非常階段に残してきた僕の鼓動を、
君のその耳に直接、
きっと響かせてやる。
目の前の、この扉が開いたら。
肩で息をした獰猛な僕が、
必ず君の嘘を暴いて、
抱きしめる。
Fin.
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