第二十五話 やり直し

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 すっと、横に影が並び立った。 「りっくん」 「なんだか分かんねぇけど。分かんねぇから、俺も一緒に行く」  眉間にシワを寄せ、頭を掻きながら、理玖は美邑の隣を歩いていた。 「そんな。大丈夫だから」 「おまえの大丈夫なんて、信じられるかよ」  鼻で笑うようなその言葉に、美邑はムッとしたが、理玖は早口で続けた。 「だいたい、おまえはいっつもなんだか危なっかしいんだから。ずっと一緒にいんなら、俺が見張ってやんなきゃダメだろ」 「――」  はっとして、美邑は理玖の顔を見上げた。あくまで不貞腐れた表情の理玖に、「ほんとに?」と震える声をかける。 「あの日の約束……覚えてたの?」 「……どの日のことだか」  「はっ」と笑いつつも、否定はしないその右手を、美邑はぎゅっと握った。記憶の中にあるよりも、ずっと大きな手のひらは、とても温かい。 (あたしは、独りなんかじゃなかったんだ)  大好きな、大切なモモ。今こうして、胸の奥で彼女が見守ってくれているからこそ、勇気を絞り出すことができた。だからこそ、この手の温もりに気がつくことができた。  握った右手は、一瞬固まったものの、ゆっくりと力を込め返してくる。そのぎこちない優しさに微笑み、美邑はまた顔を正面に向けた。
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