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「そんなの……もう、会えなきゃ……意味ないよぉ……っ」
モモの背中を、ぎゅっと抱き締め返す。細く、頼りないその感触に、美邑は更に力を込めた。
「そんなことないよ。だって、これからはずっと、一番そばで守ってあげられる。そうすることで、ミクちゃんが、お父さんやお母さんのところに、帰ることができるんだよ? 元の――ううん、元よりずっと良い生活に、戻ることだってできるんだから」
「だから、意味なくなんて、ないよ」――そう断言するモモに、美邑はイヤイヤと首を振った。
「元より、良い生活とか……わけ、分かんない」
「それはね。ミクちゃんが、ほんのちょっと、勇気を出せば良いんだよ。これまで怖がって、締め切っていた心の扉をね。ほんのちょっと、開けば。そうしたら、きっと」
「そんなのっ、モモが一緒の方が良いっ」
泣きわめく美邑の額に、また温かなものが触れた。はっと見上げると、モモの唇がそっと離れ、にこりと笑いかけてくる。
「――ありがとう、ミクちゃん」
その笑顔は、あまりにも綺麗で。
美邑は、モモを抱き締める腕に力を込めたが。
パッと――その場に光が舞い散り。腕の中の手応えが、感じていた体温とともに消えた。
「っモモ!」
光の粒を抱き締めながら、美邑は叫び――溢れる涙で歪む視界は、やがて真っ白に染まり、なにも見えなくなった。
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