第二十五話 やり直し

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「それともやっぱり、昨日言っていた通り、君の今の家族を僕が奪うしかないのかな」  ぽつりと、何気ない口調で、昊千代が言う。じっと、今度は理玖に紅い瞳を向けて。 「こっちに未練があるから、そんな意地悪を言うんだから。未練を僕が全部、絶ち切ってあげれば良い」 「え? は?」  戸惑った声を上げたのは、理玖だった。状況が分からないなりに、この剣呑な空気は伝わったのだろう。 「止めてっ」  昨日の昊千代の様子を思い出し、ぞっとしながら慌てて大声を出す。 「そんなことされたって、あたしはもう鬼じゃないし。大体、そんなことされたら、貴方を家族だなんて一生認めないんだからっ」 「今の君の気持ちなんて関係ないよ。また鬼に成れば、何百年と時間ができるんだから」  平然と言い放つ昊千代に、美邑がとにかく目の前の理玖を守らねばと、間に立ちはだかろうとしたときだった。ぐいっと腕を引かれ、逆に理玖の後ろに回される。 「おい、あんたなぁ。さっきから聞いてれば」 「り、りっくん?」  呼びかける美邑を無視して、理玖はそのまま刺々しい声で続ける。 「正直、よく分かんねぇけど。最近、こいつが参ってたのは、あんたのせいってことだろ? そんで、またグチグチ言い寄りやがって。何百年だかなんだか知んねぇけど、俺だってこいつのこと、ずっと見てきたし。だからこそ、悪かったと思ってるし――でもそれは、これからだってやり直せると思ってる」
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