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───パンパン
二礼二拍手一礼。
最後の礼と同時に、心の中でゆっくり、念じるようにお願いごとをする。
どうか、どうか知紘が無事、高校に進学出来ますように!!馬鹿だけど、誰よりも友達を大切にします。馬鹿だけど、何よりも家族想いです。
勉強は人より出来ないけれど、人として尊敬出来るところは沢山あります。だからどうか、知紘が高校に進学して楽しい毎日を送れるように、力を貸してください!お願いします!
完全に他力本願。
だけど、私はこうして祈願するより他に、知紘のために何もしてやれない。
学校って確かにダルいし、周りに合わせることにたまに疲れたりするけど、やっぱり友達と一緒に学べる今が楽しいって素直に思うから。
中学を卒業してすぐに働くなんて、きっと進学するよりずっと険しいであろう道を、知紘に進んで欲しくない。
姉として、やっぱり知紘にもそれなりに楽しい学園ライフを過ごさせてやりたいのだ。
「よし!」
パチっと目を開けて、クルッと拝殿に背を向ける。
合格祈願の御守りでも買って帰ろうかな。さすがにもう体の芯まで冷えきった。
帰って温かいコーンスープでも飲もう。
あ、今日発売の雑誌買わなくちゃ!いや、でも待てよ?そうと決まればコンビニにも寄らなきゃいけないわけで、
最寄りのコンビニまで徒歩15分。
寒さで頭おかしくなるかも。
本当に田舎って不便。嫌になる。
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