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「んなことより、質問に答えろ。お前はどころ娘だ?」
「さっきから、質問の意味がよく分かりません」
「……敬語だったり、そうじゃなかったり。ほんと良く分かんねぇやつだな」
「……ご、ごめんなさい。気をつけます」
キリッとした眉がやや八の字を描いて、少しだけ困ったような顔をするから慌てて頭を下げる。
ここに来て初めて紅蓮様が表情を変えた。
ふたりきりの空間は別に居心地が悪いわけじゃないのに、さっきからずっと私の心臓はバクバクと激しい音を鳴らしている。
「良い。俺に敬語は使うな」
「え?」
「虎太にも何度も敬語は使わなくて良いっつってんのに、言う事聞きゃしねぇ」
そりゃ、無理なお願いだろうな。
あんなに真面目そうな虎太くんだもん、まさか自分が仕える相手にタメ口で話すなんて……
うん、そりゃ無理に決まってる。
「……私も、やっぱり敬語で」
「廊下で散々暴言吐いたあとに敬語で話されてもな」
「うっ、」
「で、今度こそ言え。どこの家のもんだ?誰と来た?俺は妃は取らねぇって宣言してんだろーが。よくも毎月毎月、送り込んでくるもんだ」
伏し目がちだった紅蓮様の瞳が、フッと私を見つめて、その瞬間またあの燃えるような瞳から私は逃げる術もなく、固まって動けなくなる。
相変わらず、この世界のことはよく分からない。
比例して、紅蓮様が何を言っているのかも分からない。
だけど、その瞳を見つめると、燃えるような紅い瞳に見つめられると、ゾクゾクと私の胸は疼いて、熱をもっていく。
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