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さっき楓さんに教えてもらった摺り足も忘れて、ドカドカと音を立てながら近寄る私に、紅蓮がギョッと目を見開くのが分かったけれど、
「私が阿呆なら、アンタは馬鹿よ。人に物を言う前に自分を見つめ直したらどう？」
そんなのもう、どうだっていい。
「それは余計な世話だな。お前はその気の強い性格治して少しはおしとやかに振る舞えるよう励むんだな」
「は？」
「そんなんじゃ、嫁の貰い手が見つかるとは思えねぇからな」
……あくまでも冷静に、少しだけ口角を上げて告げる紅蓮は、感情をあまり表に出さない。
私が一人で阿呆みたいに取り乱してるみたいじゃん。余計にムカつく。
「まじでやだ！私のこと何も知らないくせにまじムカつく！！」
「……お互い様だろ」
───グイッ
紅蓮の前にムッとした表情のまま棒立ちしていた私は、突然手首を思い切り引かれてその場に膝をついた。
目の前には、視界いっぱいに広がる紅蓮の顔。
再び壊れるくらい加速する心臓。
「お前……」
「な、なによ」
掴まれたままの手首が熱を持って私の体はどんどん火照っていくけれど、対する紅蓮はやっぱり眉一つ動かさない。
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