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結局、あれから夜雨さんと、楓さん、それから虎太くんも一緒に、3回に分けて神酒を飲み干し、私達は晴れて家族になった。
少しずつ喉に流し込んだ神酒の味は、これと言って覚えていない。
頭がクラっとして、喉が焼けるみたいに熱くて、体は火照ってポカポカする。
「これにて、東里 蘭を正式に東里家の長女と認める。……いいな?蘭」
そんな私の名を呼ぶ夜雨さんは、もう私に"殿"を付けることはなくて、
あぁ、本当に私は東里家の娘になったんだ。
「はい。……お父さん、お母さん、それから虎太。こんな私ですが、これからどうぞよろしくお願い致します」
深々と頭を下げれば、対する3人も同じように頭を下げる気配がした。
東雲家や東里家の他に、北や西の偉いどころも召集されていたこの親子結びの場で、皆に見守られながら無事に東里の一員になれた喜びと、これからへの不安が交差する。
「皆も盃を」
突然響いた光蓮様の言葉に部屋を見渡せば、いつの間に準備されていたのか、部屋にいる皆の手に盃が握られていた。
その盃を天にかざして、「乾杯」と言う掛け声と共に皆が3度に分けて飲み干した。
「こうして皆で盃を交わすことで、主従関係にある東雲家に蘭が認めれ、また西や北にも蘭が東里の者であると言う認識が付いた。もうこの世で心配することはなかろう」
唖然とする私に、小さな声で夜雨さんが教えてくれる。
私たちだけじゃなく、ここにいる皆が盃を交わすことの意味を理解したとき、この世界の深さを改めて思い知る。
私がいた世界とは、似ても似つかないけれど
今こうして、私の生きる場所になった。私は、今日からここで……東里 蘭として生きていく。
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