7人が本棚に入れています
本棚に追加
この空間にいる全員が、二人のやり取りを冷や冷やしながら見守っているのが分かって、
紅蓮の隣にいる自分を不思議に思う。
待って、私の意思は?
私は紅蓮の妃になるつもりは微塵もない。もちろん自分の世界にはそれなりにかっこいいな~って思う先輩だっていたし、
結婚するなら絶対に恋愛結婚がいい。
ましてや、何らよく分からないこの世界の次期3代目当主とか言われてる紅蓮と、
お互い、一切恋愛感情がないまま結婚するなんて無理すぎる。
って、ちょっと待て。
私はそもそも元の世界に帰る方法を探して、一刻も早く帰りたいの!!
結婚なんかしたら、帰れなくなるじゃない!
冗談じゃない。
無理、無理よ!!むーーり!!!
「あ、あのさ……私は紅蓮と結婚する気はこれっぽっちもないからね!!
そもそも、好きな人とじゃなきゃ嫌だし、それに私こっちの世界に長くいるつもりはないし」
こんな冷たい空気の中、意を決して口を開いた私は親指と人差し指をもうベッタリくっつけた状態で「これっぽっち」を表現してみたけれど、
対する紅蓮は私に少しだけ視線を落とすと、「それがどうした?」とばかりに私へ言葉を放る。
「俺は、蘭以外を娶るつもりはない」
───ドクンッ
「そ、そんなの無理!だって、気持ちがない結婚なんて絶対にしたくない。紅蓮優しくないし、意地っ張りそうだし、女の子の気持ちに鈍そうだし、何よりお互い心から幸せって思えないじゃない」
……真っ直ぐに私を見つめる紅蓮に、不覚にも一瞬心臓が高鳴った。
バカみたいに顔が整ってるんだもん。
そんな顔して見つめたらやっぱり世の中の大半の女の子は心臓を簡単に射抜かれるんだろうな。
最初のコメントを投稿しよう!