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眠れない夜
夜中に何度か目が覚めるようになった。
歳をとったせいだろう。
歳をとると睡眠時間が短くなり、途中で何度も目が覚めるという話は昔、聞いたことがあったが自分が身をもって体験する日が来るとは思わなかった。寝るということも体力を使うのらしい。
体力を回復するための眠りに体力を使うというのもおかしな話かもしれないが、生きている以上、何をしていても常に体力は消耗するわけで、自分が考えるほどおかしな話でもないのだろう。
それでいて朝は早く目が覚めるようになってきた。そして夜中の11時すぎると眠くなり始める。昔のように夜更かしができなくなってきた。
布団に入り、しばらくして目が覚める。
枕元の時計を見ると1時24分という表示が見える。眠ってからそれほど時間は経っていない。
明日も仕事である。また眠りにつく。
しばらくしてまた目が覚める。
時計を見ると2時9分。
さっき目が覚めたときからそんなに時間は経っていない。でも、まだあと4時間以上眠ることができるのだと思うと、少し得した感じがする。そんなちょっとの幸せ気分を味わっているうちに意識がなくなる。
頭がガクンと落ちた感じがして目が覚める。
あわてて姿勢を正す。
次の駅 はどこだろうとあたりを見回すが窓の外は暗闇ばかりでわからない。
降りなければいけない駅を乗り過ごしてしまったわけではないだろう、大丈夫だ。
なにしろこれが最終電車である。乗り過ごしてしまったら大変だ。
それにしても眠い。
しかし、ここでまた眠ってしまったら降りる駅を乗り過ごしてしまう。
寝てはいけない寝てはいけないと思っているうちに意識が途絶える。
また目が覚めてしまった。
枕元の時計を見ると2時20分。あれから10分程度しか経っていない。
なにか夢を見たような記憶があるがどんな夢だったのか思い出すことができない。まあ夢なんかどうでもいいか。ここで寝ておかなければまた明日の朝が辛い……
体が倒れるような感じがして目が覚めた。
感じどころではなく倒れ掛かっていた。
慌てて姿勢を正して椅子に座りなおす。
まだ、駅には着いていないようだ。
同じ車両には自分以外は誰も乗っていない。最終電車なんてこんなものだろう。
それにしても眠い。風呂にも入りたいが、家に帰ったらすぐさま寝よう。朝早めに起きてシャワーでも浴びればいい。
そのためにはここで寝てはいけない……
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