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「もう、どこ行ってたの?」
遠くから、どこかのお寺の十二時の鐘の音が響き渡ると同時に帰ってきた俺を、彼女が睨みつけてきた。
でも、その顔は俺を責めているという風ではない。
由紀乃は由紀乃で、ついさっき起きてきて、やっとシャワーを浴びておめかしの最中だったからだ。
「う、うん、これ、食べる?エビマヨのおにぎり」
俺が手に持ったコンビニの袋を差し出すと、鏡越しに俺を見た。
「何?その辺に置いといて」
手を休めることなくそう言った由紀乃は気付かなかったようだ。
俺が今、顔面蒼白な事に。
でも、今更「止めない?」なんて言えるはずもなかった。
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