優しい嘘

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ハンドルを握る長女の有可里が突然言った。 「私さ、最近失恋したわ」 「えっ?そ、 そうなんだ」 不意の告白に、私はそう応えるしかなかった。 「まあ、私が振ったんだけどね」 「自分で振っても失恋て言うの?」 「……実は不倫だったんだ」 「ええっ!?」 さらなる告白の追撃に私は戸惑う。 「相手は会社の上司で、中学生の娘さんが居るんだって」 「相手の人、娘さんと仲良いの?」 「うん。写真見せて貰った事がある」 「別れて良かったじゃん」 「うん」 多分、姉は娘さんと自分が重なったんだと思った。 彼女から、父親を奪う事なんか出来なかったんだろう。
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