狼会長

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そう言いながら、会長の手が私の眼鏡に触れる。反射的に体が下がり、窓に背中がぶつかった。 ゆっくりと、眼鏡を外されていく。 くっきりとした世界が少しだけボヤけた。 私を見下ろす様に立ちながら、会長の手が一本に結ばれた髪の毛へと伸びゴムを解いていく。 会長の指から落ちていく髪に心臓がうるさくなり始めた。 「やっぱり、スゲー可愛いじゃん。」 いつもより、優しくて甘い声。 馬鹿みたいに騒ぐいつもと違う会長。 「か…ぃちょ…う…。」 うるさい心臓のせいで、声が震える。 「そういうの反則だから…。」 近づいて来る会長の顔に思わずギュッと目をつぶってしまった。 コツンとぶつかったのは、会長のおでこと私のおでこ。 驚いて目を開けると私の視界には、会長の顔だけ。初めてこんな近くで見た会長の顔はとてもキレイだった。 「……。」 「な、何か言って下さいよ…。」 「やっぱ、無しな!!」 そう言いながら、離れていく会長。 そして、手に持っていた眼鏡を戻される。 「…勝手に告白してきて、勝手に振らないで下さい。傷つきますから。」 「馬鹿、ちげぇーよ!」 そう言いながら、突然笑い出した。 「…姫のかわいい姿は、俺以外に見せんなって事。俺だって、不安になるだよ。」 そう言いながら、呼吸を整えてギュッと右手を繋がれ引っ張られる。 「文化祭、一緒に周るぞ!」 「…は、はい。」 手を繋がれながら、生徒会室の入り口へと向かった会長が一度止まり振り返った。 「姫、マジで好きだよ。」
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