これは誰かのための嘘

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「彼の事が大嫌い」 そう思っていたから、そう言った。 友達は彼の事が好きだった。きっと彼と一緒に遊びたかったのだろうな。僕が独り占めしなければ、彼と沢山遊べた。彼の事が大好きだって誤解されたくなかった。 僕は彼の事を良い風に思っていないし、又、彼も僕の事を良い風に思ってはいないだろう。 これは誰かのための嘘に過ぎない。 彼の事を好きな人が沢山いる。 僕が独り占めしてはいけないんだ。 だからそういうしかない。 僕は彼にちゃんと言った。 「僕は君の事を好きになれない」って。 ちゃんと言えた。悲しい嘘だ。 僕は彼の事を良い風に思っているし、又、彼も僕の事を良い風に思っているのだろうけれど、嘘を吐くしかなかったんだ。
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