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「知華子ちゃん、おはよう…
………すげぇクマ」
翌朝。
先生は私の顔を見るなり一瞬絶句していた。
いつもの丁寧な言葉遣いも何処へやら…そっか、素はこんな風に普通に話す人なんだな、と妙に関心してしまった。
「また、怖い夢?」
私はこくりと頷いた。
「今日は池袋駅で追い掛けられてました。
次は新宿辺りでしょうかねぇ…」
山手線の大きなターミナル駅をぐるり一周、したら終わるのかなぁ……。
考えるだけで滅入ってきそう。
私は手首と足首をぷらぷらとほぐして走る準備を始めた。
「時間は余裕あるから、ゆっくり走りましょう。
でも、辛かったら早めに声を掛けて下さい」
私がはい、と返答すると川沿いの歩道を北に向かって走り出した。
この速度で5分位だから、1キロあるか無いか、そんな距離にある総合公園のコキアは緑色から少しずつ紅く染まり始めていて、秋への訪れを知らせている。
池が見える広場には、体操が始まるのを待つ人々が集まっている。
夏休みも終わった平日だからか、年配の方が多い。
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