3人が本棚に入れています
本棚に追加
「…第二体操、すっかり忘れてました」
帰り道、二人並んで走りながら私は恥ずかしくて俯いてしまう。
「あの片足ジャンプ、可愛かったですよ」
ぶくく、と先生が思い出し笑いをする。
普段こんな笑い方、見た事無い。
年上の人だけど、凄く親近感、湧いて来る。
「体操もね、勉強と一緒。
毎日やってれば覚えます。
俺の事も、毎日一緒に居たら慣れて来たでしょ?」
あれ?今、一人称…
「『俺』?」
私の呟きが聞こえたのか、先生は一瞬しまった、という顔になったが…
「ま、いいか。
今は勉強の時間じゃないからね」
…開き直った様子で、急に言葉も砕けたものになる。
切り替え、早っ!
「丁寧な口調はお仕事モード、って事ですか?」
「まあね。
私情入ったらマズいから」
「私情?」
「そ。
知華子ちゃんメッチャ可愛いー、とか思ってても勉強中は言わない、とか」
先生はイタズラっ子みたいに得意気な笑顔になった。
最初のコメントを投稿しよう!