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……ここまで来れば、もう大丈夫かな?
私はそれでもまだ辺りを伺いながら地上へ出た。
そう言えば…。
今日の目的地は何処だっけ?
慌ててたら忘れたらしい。
バックパックから手帳を取り出して拡げると、今日の予定は―――。
「……見ーつけた!」
歩道橋の、一番下。
彼が、にたりと嫌な笑みを浮かべて駆け登って来る。
全身にさあっ、と鳥肌が立つのを感じて、私はくるりと背を向けて再び駆け出した。
けれど、この至近距離では流石に追い付かれてしまうのは時間の問題。
どうしよう?
走って逃げられないのならば。
私は歩道橋の下をちらりと見た。
おおよそ5メートル、この真下は歩道。
彼に捕まる位なら、こうする。
私が歩道橋を飛び越えようとした所で、彼が追い付き、私の腰を取り押さえる。
「…………捕まえた」
「…嫌あぁぁぁぁーっっっ!!」
私は恐怖と絶望のあまり、絶叫した―――。
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