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「…嫌あぁぁぁぁーっっ!!」
自分の声が部屋中に響く。
夢、だったんだ。
まだ荒い息を弾ませながら、全身にびっしょりとかいた汗をがたがた震える手でタオルを取って拭く。
時計はまだ0時を回ったばかり。
同居の叔父はいつもなら心配して様子を見に来てくれるのだが、私の連日の絶叫で寝不足気味だったらしい。
起こさないで済んで良かった、とほっとする。
いつ頃からだろう、こんな夢を見始めたのは。
眠い。でも、怖くて眠れない。
私は溜め息をついて部屋の明かりを点け、机に向かった。
家庭教師の井上先生にお借りした国語の教科書をぱらりと開く。
一番苦手な国語でも読んで、夢も見ない程熟睡できると良いんだけど。
竹取物語に百人一首。
枕言葉は「あおによし」?
赤じゃ駄目なの?
そっか、青は進めで赤は止まれだから「あおによし」なのね………。
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