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それは、突然に……
――――ある正月の朝
「ひゃー外寒っ!」と家から出てきたのは、顔立ちの良くなんとも上品そうな好青年だ。
名前は望月 金枝、高校2年生
彼は見た目とは違いひきこもりでオタクなのだ。
普通のひきこもりならこんな寒い時期に家を出るなんてことはないだろう、
ましてや年明け最初の日なんて一般人でも出ないだろう。
しかし、彼は違う。ある約束のために家から出たのだ。それは、まだコウシが幼い時に病死してしまった母との約束だった......。
彼女は心臓癌を患い、かなり進行が進んでいたのだ。その母が息を引き取る直前に言った。
『毎年、お正月だけでもいいからお墓まで会いに来てね.....』
コウシはそんな思い出に浸りながら、アパートの錆びた階段をゆっくりと下って行く。
やがて墓地までの一本道に立つ、その瞬間急に体を寒気が襲った。
(風邪でもひいたかな)と、軽く流し急ぎ足で墓地へと向かった。
無事に墓参りを済ませたコウシは、また元の一本道を歩いていた。
ふと、違和感を感じアパートの手前で左を向く。コウシは口をあんぐりと開けた。
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